コラム

受験校を絞り込んでいく時期になりましたが・・・

「自分が3年間を過ごす学校なんだから、学校説明会や文化祭に足を運んでしっかり自分にあった学校を選ぶようにしなさい!」よく聞く話です。私、これにいつも違和感を感じるんですよね。

確かに、これってある意味正しい。前提としてその受験生がほぼどこを受験しても合格できるような圧倒的な学力を有しているか、逆に単願推薦基準内申をクリアした学校の中から選び、合格が一定保証されているというような場合です。

これ以外の場合は、選ぶより先に選ばれないと・・・あたりまえですが、複数の学校に合格して初めて選択権発生ですよね。

それに、学校説明会というのは原則としていいことしか言いませんよね。もちろん見せたくないものは隠す。要はお化粧してるわけですよ。学校によってはかなりの厚化粧、整形している場合だってあるかも知れません。

たとえば、進学校の場合なんかは上位10%程度の生徒についての大学合格実績について、延々と語ってみたり・・・受験生や保護者がほんとうに知りたいのは、その学校のボリュームゾーンについてのことでしょ。

東大が○名、一橋が○名、慶応が、早稲田が・・・でもその学校で成績が真ん中ぐらいだと、現役では日東駒専、浪人して何とか法政なんてよくある話です。

私、うちの生徒たちに言うんですよね。「その学校のすっぴんの顔がみたければ、生徒の登下校の時間にあわせてその学校の近くに行けばいいじゃないですか。」

普段の生徒の会話内容や身だしなみ、様々な本当の姿が見えてきます。その学校のスタンダードをよりリアルに感じとれるんじゃないですかね。よく言われているような「学校見学をすることで、第一志望合格に向けたモチベーションが高まる」などはこれで十分に効果があると思いますが。

Takahide Kita

【勉強ごっこ】;本来の勉強の目的を取りちがえてきれいなノートを作成したり、ただ長い時間机に向かうことで充実感を得るなどの勉強に類似した行為。また、それを賞賛、推奨するような指導者とともにある空間全体をさすこともある。「PEG受験用語集より」

いつの頃からか「子供の仕事は勉強だ」って言わなくなりましたよね。この言葉、意外と正鵠を射ていると思うんですけど・・・

決められた期限どおりにやるべきことをやってくる。自分ができないことは上司に教えてもらったり、先輩のやり方を盗んだりする。そして、自分自身が成長することで、より大きな成果を出す。

こういった仕事のイロハを子供たちは勉強を通じて修得していくんです。要は成果に向けて工夫しながら進んでいくことが重要なんですよね。

好きで得意な教科を伸ばすことはもちろん大事ですが、「苦手な教科を克服する」ことはもっと大事なように思います。本当の意味での勉強はむしろこっちなんじゃないでしょうか。

そして、このような経験は将来仕事で行き詰ったときなんかには大変役に立ちます。苦手なものを克服しようとするときには本気で向かっていくしかないし、「ごっこ」のようなごまかしはききませんからね。

先日のことですが、私のクラスの生徒が「宿題、全部はできていません」なんて言うんですね。(もちろんこの生徒には猛烈なカウンターを入れましたが・・・)二十年以上も塾の講師やってるとこの台詞は少々聞き飽きちゃって胃にもたれる感じがするほどです。これ、半分以上やっていることはまずないですね。自分が得意な問題とできる問題だけをちょこちょこっとね。

でもこの台詞、今思えば大人から聞かされたことのほうが多かったような気がするなぁ・・・

「勉強ごっこ」しかやったことのない人は、社会にでると今度は「仕事ごっこ」を始めちゃうんでしょうかね。

Takahide Kita