■「千疋屋」おそるべし!
千疋屋総本店、高級フルーツの代名詞ですよね。江戸時代から続く日本橋にある果物商の老舗中の老舗です。私も、お世話になったみなさんに中元や歳暮、様々なお祝い事などで送らせていただいたりする際にちょくちょく利用させていただいております。のれん分けで独立された京橋千疋屋、銀座千疋屋などもありますが、私はやっぱり総本店がいいですね。
ちなみに、私、千疋屋の生フルーツは食べたことがないんですよね。フルーツジュレや各種スイーツなどは頂くこともありちょくちょく口にはしますが、生のフルーツは他人様に送るばかりでしてね。
ところで、この千疋屋のフルーツギフト、ほんとうにすごいんです。その日の最高級のものを仕入れているだけではなく、ひとつひとつのフルーツに品質保証があったり、また仕入れ担当の方からのメッセージなども付されているんですよね。そこには「食べごろはいつか」、「美味しく頂けるおすすめの食べ方」などが記されていたりもします。ここまでくると、もう果物というより宝石かなんかの扱いですね。自分たちの「商品」に徹底したこだわりを持つ、ほんとうに素晴らしいことだと思います。そこには誇りや矜持すら感じることができます。
その時々の世相や流行に対応して、柔軟に立ち回ることは確かに重要なことだとは思います。しかし、収益が見込まれる方面に無節操に手を伸ばし、もともとが何の会社であったのか世間から忘れられてしまうようなケースも最近では多くなってきましたよね。一方で「ブランドの持つ力」について考えるときに、「これだけは決して変えない、これを譲ってしまったら、もはや自分たちではなくなってしまう」、といったことも千疋屋さんにみられるように大切にしていかないとなぁ、などとぼんやり考えています。
そういえば、京都の蹴上に「○ホテル」という名門ホテルがありました。昭和天皇がよくお泊りになったことでも知られ、あまたの国家元首がご利用になった一流の宿です。外資に買収されて以降、なんか大事なものを失ってしまったように感じるのは私の気のせいでしょうか。今でも以前と変わらずラウンジのコーヒーは千円もしますし、車止めの脇からはお迎えした元首のお国の旗がずらっと誇らしげに掲揚されているんですけどね。たまに懐かしくなってのぞいてみると・・・少々残念な気持ちになっちゃうんですよね。
私たちにはブランドなどという大そうなものはありませんが、創立した1年前に掲げた思いや、みなさんと交わした約束を誠実に守り続けることで、「看板」を磨いていかなければなりません。ほんとうにささやかな看板ではありますが・・・。
Takahide Kita