コラム

■ものの覚え方、質問されてもねぇ

「質問があります。暗記することが苦手なんですけど、どうやって覚えたらいいんですか?」「えっ!それが質問なの・・・ちがうでしょ!」

最近、耳にすることが多くなりましたよ、このフレーズ・・・覚え方がわからないなんていう中学生と結構な頻度で出会うようになってきましたね。そもそも、覚え方なんていうものは小学校の2、3年生あたりから、いろいろ試してみながら、一人ひとりがそれぞれ自分にあった手法を身につけていくものでしょ。

私の場合でもそうでしたし、同じ家庭で育った私と弟でもその手法は異なります。人によっては「とにかく書いて、書きまくって」、「自分の部屋で大きな声に出して」、「集中して読み込んで」などなど千差万別ですよね。要するに、この子たちはそういった「ものを覚えることの試行錯誤」を経験してこなかったわけです。というより、そういう機会を与えられてこなかったのかもしれません。「今週中にここからここまでの範囲で」というように期限とボリュームを定めた形でやってこなかったんですよ。子供たちはこういった一定のプレッシャーとストレスを受けることで、試行錯誤をしながら工夫を積み上げて、様々なものを習得していくわけですよね。

最近では、思考力や表現力、独創力などの重要性がそれらしく取り上げられることが多くなり、その一方で基礎用語の暗記などは「詰め込み」として軽視してきたことの弊害というか後遺症がここにきて大きくなってきたように感じます。

思考力や表現力なんてものは、正しい知識の上にのみ構築されるものだと思います。基礎知識が不安定な上にある「思考」はとても危険なものですし、語彙力の欠如した「表現」は正確に伝達されることがなく全く価値を持ちません。

IT業界において世界中で活躍しているインド系のみなさんは子供の頃に掛け算を20×20まで暗記させられると聞いたことがあります。日本の「九九」の感覚ですよね。結果、理数系の処理能力が高い傾向にあり、いまやアップルやグーグルをはじめとした最先端企業において欠くことのできない人的資源となっています。

ものごとには優先順位というものが必ずあります。子供たちの学習においてはなお優先順位が重く考えられるべきでしょう。

最近わが国において、国語読解能力の低下によって、学校の教科書レベルの文章が理解できない子供の割合が25%を超えているという記事を目にしました。このような母国語が不十分な状況下で小学生からの英語教育を本気で始めようというわけです。これって中身のことはさておき、形だけを「個性」と称して、子供たちにキラキラネームをつけるのと同じように思えてくるのは私だけでしょうか。

Takahide Kita

■誠に残念ながら今年も「日曜特訓」やってます!

PEGでは9月に入ってから、小6‣中3特訓コース在籍生の「日曜特訓」がスタートしています。今日はその第2回目になりますが、体調不良などで欠席する生徒もなく、すべての子供たちがそれぞれの最高峰を目指して合格力の向上に取り組んでいます。

小6、中3ともに全10回、計40時間の特訓講座ですが、うちの場合は受講料は無料で実費の教材費のみをいただいています。「安かろう悪かろう」なんて思われてしまうかもしれませんが、大手の進学塾などの高額受講料を伴った講座と比べても全くひけをとらないものだとの自負はあります。各スタッフが今年の受験生たちにとって最も適した講座内容や教材を作成、選定し、志望校合格への最短コースをしっかり作り上げていますよね。

以前にも少しだけ取り上げましたが、私たちは本科・講習以外のこの種の特別講座(多くの塾ではオプション講座なんて呼ばれているのかな・・・)は本来は必要のないモノでなければならない、と考えていますから、受講料をいただかないのは当然のことです。学習塾の「本来あるべき形」では、本科・講習授業のみで合格まで導いていかなければならないと思うんですよね。ただ、現状では子供たちにとって必要だからやっているということなんです。

私たちの考え方や指導が生徒、保護者のみなさんに広く受け入れられて、中学入試、高校入試ともに学習初学年(うちの場合は小4、中1です)から募集定員を満たすようになったとき、この種の特別講座は全く必要なくなるでしょうね。

やるべきことをやるべき時期にきっちり習得しているのですから、何も屋上屋を重ねる必要はないでしょうし、そもそも私たちPEG側の都合でやらなければならない理由は全くないわけですからね。

これからも、あるべき学習塾の形に近づけるべく精進していかなければなりませんね。

Takahide Kita