■やるべき事をやるべき時にやっておく
私は、PEGで数学と社会の教科を担当しているんですが、今般、コロナ感染予防による学校休校の影響から高校入試における出題範囲が一部削減されることになりましたよね。特に、数学では「三平方の定理」からの出題が削除されるようで・・・「おやおや」というわけです。私の作成した入試対策用教材の中から、「三平方の定理」が絡む問題を除くと、図形・関数の分野では3割ほどしか残らなくなってしまいます。特に「差がつく問題」、「いい問題」なんていうものはほぼ壊滅状態ですね。
ただ、これは都立の高等学校とそれに追随する私立高校が入学試験の出題範囲から除外するということで、「それらの単元は学習しなくてよい」となったわけではありません。しかしながら、あまり考えたくはないことですが、都立高校入試を主対象としてやっている学習塾などをはじめとして、一定程度の学習の場では扱わなくなるんでしょうか。おそらく「先のことは置いておいて、今困らないから・・・」という感じになっちゃうのかな。
一昔前、そう15年ほど前になりますかね。23区内の公立で数学教師をやっている知人Nさんに聞いてみたことがあるんですよ。
私 「中1で分数の計算、ちゃんとできない生徒どれくらい?」
N 「そうね、10人中3人ぐらいかな。」
私 「割合とか比の単元が不十分な生徒は?」
N 「まあ、半分近くはいるよね。」
私 「その子たち、どうにかなるの?」
N 「どうにもならんよ。」
私 「そういう子を見たとき、どうするの?」
N 「見て見ぬふりするしかない。だって、中学の授業で分数の計算を一から教えるわけにはいかないからね。どうしようもない。」
このNさんの言ったこと、理解できますよね。分数ができないからって、中学の授業で分数計算を扱ってたら、小学生の時にきちんとやってた残りの7割の子どもや保護者のみなさんに納得してもらえるような説明ができませんからね。
ひるがえって思えば、私のような怠け者でも、向こう1ヶ月間の「to doリスト」を期限を入れて作成し、できる限り早期に片づけてしまうようにしています。こっちは仕事ですから、「できませんでした」はありえないですし、まわりのみなさんを巻き込んで大きな迷惑をかけることになってしまいますからね。なんか偉そうなことを言っていますが、これは以前仕事をしていた会社で上司や先輩に叩き込まれたことなんです。その方々には、今でも心の底からほんとうに感謝しています。
私、子どもたちにくり返し言いますね。「やるべき事をやるべき時にやらなかったら、後でほんまに惨めな思いをするからな。言い訳人生、一直線やぞ!」って。これって、数学の公式なんかを教えることよりもはるかに大事なことだと思いますよ。誰からも言われないから大丈夫、今困ってないから大丈夫と思っているうちに・・・ふと気がつくと、まわりの景色が一変しているなんてことになりかねません。
いやぁ、それにしても、高校入試の出題範囲から「三平方の定理」が除かれたというのは、おそらく史上初めてなんじゃないかな。詳しくは調べていませんから断言はできませんが、少なくとも私が学習塾で指導をしてきた30年余では初めてです。もう少し騒ぎになってもいいような気がしませんか。
Takahide Kita