■「夏が大事」と言うからには、その準備をやっておかないとね
「夏は受験勉強の天王山だ!」なんて昔からよく言われていますし、今でも学習塾のチラシやポスターなんかで似たようなキャッチをよく目にします。
これって羽柴秀吉の天下獲りの大一番になった山崎の合戦に由来していますよね。秀吉はこの大一番に必勝すべく中国大返しの最中に様々な準備を抜け目なくやったと伝えられています。周到な準備なくして「夏が大事だ!」、「ここが勝負どころだ!」と繰り返したところで屁のツッパリにもならないと思うんですよね。
夏期講習は受験生にとっては、まさしく「合格を獲りにいく夏」といえます。夏期講習には通常の授業時間数に比して、その5~6ヶ月分を集中的に投入していますから、ここでどこまでやれるかで志望校の合格可能性やそもそもの受験校自体が大きく変わってきます。例年、夏期講習の前後で偏差値が10以上変動する受験生が結構な数出てきますからね。
といって、「夏が勝負だぞぉ~」なんて子供たちに気合いをいれてみても何の意味もありません。大事なことは夏期講習での学習効果をより大きなものにするために、その前捌きとして今やっておくべきことを具体的にかつ周到に行うことでしょうか。
私たち講師は、今年の受験生に適したカリキュラムを準備し、教材を作成する。そして、子供たちはそれぞれの問題点をひとつでも多く解消しておく。たとえば、私の教科の数学では、従来から通っている生徒たちはそれぞれに「全数式単元の再確認」といった冊子を普段の授業とは別に夏までに完了させます。これを個々の生徒に対して、点検、添削、個別に指導することで不十分な分野をつぶしてしまいます。また、7月から入塾する数名については、カリキュラムギャップが結構ありますので、個別に補習を行い、夏までには講習を受講しても問題ないレベルまで引き上げておくことが絶対に必要です。そうでなければ、この子たちにとってはフランス語かドイツ語で数学の授業を受けているようなもので、説明自体が理解できないということになってしまいます。
要は、夏が大事ならその前にやるべき周到な準備が必ずあるでしょう、ということなんです。
PEGでは今通っている受験生たちの合格にその全力を尽くす、という趣旨から9月以降の小6、中3受験生の募集は行いません。たとえお預かりしたとしても、私たちが考える「本来あるべき姿の受験」はできないと思うからです。ただ受講料をいただいて、「内申点に相応したそれなりの都立高校と合格確約のとれる怪しげな併願校」、「どこでもいいので・・・ほぼ定員割れで実質的に受験者全員合格の私立中学」といった受験なら、うちの塾じゃなくてもいいわけですし、そもそも学習塾に通う必要はないでしょ。
PEGの看板は「生徒一人ひとりの最高峰へ」です。私たちの行動規範はすべてこの看板に集約されます。
Takahide Kita