■都の風のかほり~夏~
今回の8月の休暇も短い期間でしたが、京都に滞在しました。京都の夏はとにかく暑いイメージがありますが、今回も期待どおり・・・暑かったですね。
8月のこの時期に毎年必ず訪れるお寺があります。六波羅近くにある六道珍皇寺、通称「六道さん」。ここは、その昔「六道の辻」と呼ばれ、この世とあの世の境目と考えられていた場所で、当時の埋葬地である鳥辺野への途中、いわゆる「野辺の送り」の場になります。そこに、閻魔大王とそれに仕えたと伝承されている小野篁が祀られており、彼が毎夜「冥土通い」したという井戸もあるんですよね。そんな数々のいわれもあってか、この寺では8月のお盆を前にしたこの時期に先祖の霊をお迎えするための「六道まいり」が行われます。迎霊の鐘をついてお迎えし、お盆の間をともに過ごした後、「大文字の送り火」でお送りする、といったスケジュールになっているわけなんですね。
また、ほぼ同じ時期に七夕も行われています。関西では節句などの年中行事が旧暦のまま残っていることが多く、私も子供のころには8月に七夕を行っていた記憶があります。今回も京風鈴の音とともに街中で願い事を書いた短冊が吊られた七夕飾りの風景を目にすることになりましたね。
そして、私の舌や胃袋を満足させるべく、京都の台所といわれる錦市場をチョロつき、旬の美味しいモノをチェック!そのついでに錦天満宮にもお参りさせていただきました。「夏期講習後半も有意義なものとなりますように」といったお願いをひとつだけさせていただきましたね。
もちろん、真夏の京都といえば私の大好物「鱧」です!この前、京都に入った5月にはまだ旬には早いかと思って我慢しましたが、今回は当然のことながら「鱧三昧」です。先斗町にある20年来の馴染みの店で「鱧の湯引きや刺身」を、翌日は祇園でお世話になっている料理屋さんで「鱧しゃぶ」を初物の松茸と一緒にいただきました。ちなみに、鱧といえば一般には湯引きを梅肉でいただくことが多いようですが、皮をさっと炙って、わさび醤油でいただくのが絶品で私のおすすめです。
帰りには京野菜の漬物、特にこの季節ですから、茄子と瓜の浅漬けを買い求めました。夜のビールのお供にあっさりしていて最高ですよね。
都の風は訪れた時期にあわせて毎回違った匂いを醸し出してくれます。この風にあたると私にも少しばかりの雅さと僅かながら詩人の心が芽生えてくるように思えるのが、何とも不思議でなりません。(苦笑)
Takahide Kita