コラム

■「詰め放題」おそるべし!

先の休日、自宅でムール貝を料理しようとしたところ、オリーブオイルと香草があとわずかしかないのに気がついて高幡不動のスーパーに買いに出かけました。そこで、目のあたりにしてしまいました。

TVのニュース番組などでは見たことはありましたが、実際にその場で見ると、迫力が違いましたね。一袋に詰め放題で均一価格ですから、そのビニール袋を破れる限界のギリギリまで伸ばして、ジャガイモや玉ねぎを押し込んでおられるわけです。ニンジンなんて、かろうじて先っぽが袋に入っているといった状態で・・・「この人の家、明日から何日間ニンジン三昧やねん?ひょっとして家に馬かウサギでもおるんか?」

天ぷらなんかも詰め放題やってましてね。こっちは容器から天ぷらの身が半分以上もはみ出してたりしても気にせず何とか輪ゴムでおさえ込もうと奮闘されていましたね。もう、中身がつぶれてしまって原形をとどめていません。天ぷら君たちも、よもや自分がこんな姿にされようとは想像もしていなかったでしょう。天ぷらの無念を思いながら、「そもそも、そんなグチャクチャなお姿になった天ぷら、食べても美味しいんでしょうか・・・」なんて考えちゃいました。

これでは、日銀がいくら頑張っても日本がデフレを脱却する日は・・・来ないかもしれませんね。(笑)

一方でPEGでは夏期講習真っただ中です。こちらは「夏期限定!学力、偏差値、詰め放題!」といったところでしょうか。この時期は見た目はどうでもいいので、とにかく詰めて、詰めて、詰め込んでおかなければいけません。特に小6や中3の受験生は袋を伸ばしに伸ばして、片っ端に詰め込みます。器が小さくて溢れそうになっても、押し込みなさい!調理方法や盛り付けは9月以降にしっかり伝授してあげますから、心配することはありません。

みんな、今日も袋の用意は出来てるか!よーし、かかれぇー!

Takahide Kita

■根拠のない自信

「おれ、○○高校から国立大学の医学部行って、多くの人の命を助けるんだ」なんてね。現状はさて置いてのこういったフレーズ、私は結構好きなんですよ。嘘からでた真実とまでは言いませんが、何か大きな可能性を感じることができますからね。

今の子供たちに一番足りてないのもこういったところじゃないかな。妙に現実的で面白みのない子が多いですよね。自分の発した言葉によって、自分自身が拘束されることを嫌うというか、もしダメだったら恥ずかしいとかいったところなんでしょうか。自分が大きなことを宣言することで、その目標に向かって頑張れたらそれでいいと思うんですけどね。頑張って、やり抜いて、それでダメだったら、頭をかきながら笑ってごまかせばそれで済む話じゃないですか。誰も責めたりなんかしないでしょう。

一方で、最近気になっていることに「結果にコミットする」といった売り文句があります。TVコマーシャルでも有名になったスポーツジムなんかが真っ先に思い出されますよね。

学習塾にも最近増えてきました、「合格保証」とか「○点以上成績が上がらなければ授業料は全額返金します」なんていった、この種のキャッチフレーズ。

うまく考えましたよね。昨今の子供たちや保護者の心理をほんとうにうまくついています。先に述べたように、みなさん自信がない、自分自身にコミットすることを避ける。そんなときに、誰かが自分に対してコミットしてくれるわけでしょう。そりゃ魅力的に映りますよね。すがる思いで飛び込んでいきたいでしょうよ。

ところで、私の知りたいのは、実際に目標未達になって、返金が発生するケースはどれくらいあるのか、といったところですかね。ここでの主体は企業ですから、利益にならないような仕組みにはなっていないでしょうし・・・ほんとうに興味深いですね。

やたら成績や合格校のコミットラインが低いとか、3つも4つも付帯条件や但し書きが付いていて返金までのハードルが高いとか、そもそもが一定の返金発生率を前提に試算した高額な授業料になっているとか・・・そんなんじゃなければいいなぁ。

「上から下まで、全ての講師が腹をくくって、大きなリスクをとって、預かった子供たちの成績を本気で上げにかかる、合格を獲りに全力で取り組んでいる」、そんなふうであって欲しいですね。それこそ「根拠のない自信」程度で行き切れるような軽い話しではありません。全ての学習塾が目標とすべき「高み」にあると言っても過言ではないでしょうね。

Takahide Kita