■さて、冬支度!
私、京王沿線の閑静な住宅街に住んでいるんですが、毎日、最寄り駅まで5分ほど歩いてから電車に乗るんです。その道程が短いながらも季節感があって結構なお気に入りなんですよね。
ほとんどのお宅が庭付き一戸建てなもんですから、様々な庭木が植えてありまして、歩きながら季節ごとの花や匂いが楽しめるというわけなんです。キンモクセイが終わった今の時期は、柿の木に実が茂って今にも落ちてきそうな様子です。もう少し先になれば寒椿がつぼみをつけてきます。
そういった中で、一軒、また一軒と庭の植木や垣根の枝打ちに植木屋さんが呼ばれてまるで床屋のおじさんが手際よく髪をすいていくような感じで枝打ちをしているんですよね。ああ、このお宅ではそろそろ冬支度を始められるんだな・・・なんて思いながら、毎日ぼんやりと歩いています。そういえば、子供のころ私の実家でもちょうどこの頃に松の木の散髪をしてもらってたな、なんて思い出して少々懐かしくなりましたね。
現在の自宅は、マンションの3階なので植木などの庭の冬支度の必要はありませんが、冬に向けてはちょっとした程度の準備は必要です。そうですね、次の休みあたりには、スーツの上から着る厚手のコートや買い物に行ったり、自宅の近所をちょろつくときなんかに必要な保温性ベンチコート、マフラーなどのナフタレンの匂いを落としておこうかな。陰干しをしたり、香を焚いたりと・・・いつでも着ることができるように準備しておかないといけませんよね。
仕事のほうでの冬支度はほぼ完了しています。まあ、こちらは冬支度というより冬期講習から新年度にかけての準備といったところです。よく、「長い冬を越えて、待ち遠しい春」なんて聞いたりもしますが、私たちのように受験生と一緒にいると、長い冬といった感覚はほとんどありませんね。ここから先の3ヶ月は受験校を確定させて、あとはクリスマス、正月など一切お構いなしで、一気に突っ切ります。物理的にも精神的にも一年で最も密度の濃い期間と言ってもいいでしょうね。
やっと落ち着いた頃には、梅の花はすでに満開であとは桜の開花を待つ、といった調子ですからね。せわしいがゆえに冬の長さを感じることがないという、どちらかと言えば、少々情けないといった類のものになりましょうか。
そういったせわしい冬の先に、今年もまた「雪に耐えて梅花麗し」のたとえの如く、見事な凛とした花をいっぱい咲かせて欲しいものです。
Takahide Kita