■まだまだ、すごい人がいるんだなぁ
昨日、たまたま原子力規制委員会の委員長を務められた田中さんをニュース番組で拝見しました。退任された後、ご家族と離れてひとり福島に住んでいらっしゃるようです。震災の際の原発事故でいまだに故郷に帰ることができない人たちの傍らに寄り添うように暮らしておられます。
私、この方を誤解していました。それこそ人を見た目で判断してしまっていたようで、ほんとうに恥ずかしい限りです。以前はテレビに登場されるたびに「所詮は世間知らずの御用学者さんでしょ!」なんて先入観をもって眺めていましたよね。ごめんなさい、謝ります。
「自分にやれることは限られているが、せめて地元復興のためのパイプ役としてできることを・・・」と静かに語っておられる様子からは凄みを感じました。ほんとうにすごいですよね。以前に福島を訪ねられた際にそこの人たちと交わした約束を忘れずにやっておられるとのことでした。科学のある分野でひとつのことを究められた方が最後の仕上げをしておられるように思えて、感動を覚えました。
「たいへんですよね」、「かわいそうですよね」なんて言葉にすることは簡単です。それを行動に移すには勇気と決断が必要になりますからね。場合によっては今あるものの何かを捨てなければならないこともあるでしょう。「その時、その人はどこにいて何をしていたのか」がその人の本性なんだとあらためて教えていただきました。
「頑張ってますよ」、「たぶん大丈夫ですよ」、「この内申では難しいですよ」なんて言葉にすることも簡単です。現状を表層的に説明するだけならその人でなくてもできるでしょう。「では、こうしていきましょう」と具体的な道筋を示し、自らが当事者として、それを生徒本人、保護者のみなさんと共有しなければ全く意味がありません。もちろん、そこには誠実で迅速さを伴った私たちの行動が絶対に不可欠です。
言葉を生業としている私たちですが、どんな綺麗な言葉でも、どんな勇ましい言葉でもやはり形にはかないません。その言葉に魂を吹き込むのは私たち自身の「行い」に他ならないですからね。
Takahide Kita