コラム

■今月に限っては「御礼詣り」

私、もうかれこれ20年近く高幡不動さんに欠かすことなく「月詣り」を続けているんですが、今月に限っては、これまでとは少々趣が異なりまして・・・どちらかといえば「御礼詣り」が主な目的になりました。

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この数か月、わが家のことを繰り返し祈願していたんですが、このほどようやく大願成就となりましてね、この慶事の御礼を心からさせていただきました。もちろん、お賽銭もいつもより多く「チャリーン!」させていただいたという次第です。

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お詣り自体は、いつものようにお不動様に手をあわせ、いつものように大師堂で弘法さんに手をあわせるという月並みなものでしたが、いつもならチラッと目を向けるだけで通り過ぎていた、こちらの可愛らしい「にこにこ地蔵様」にもお賽銭を入れて、頭をなでなでさせていただきました。そういえば、このお地蔵様は誰かに似ているようにも思えてきます。(微笑)

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遡ること20年ほどになりましょうか、私自身の病気の平癒をすがるような気持ちでお願いさせていただいたのが始まりでしたが、その当時は、こんな晴れやかな気分でお詣りできる日が来るとは想像すらできませんでした。ほんとうにありがとうございました。

あとは、「わが家のささやかなこの幸せをお護りいただき、平穏な日々が過ごせますよう、ひき続きよろしくお願いします」といったところです。

そうだ、来月の「月詣り」は紅葉の綺麗な頃になりますから、御礼に熨斗付きの酒瓶の一本でも提げて来て奉納することにします。あわせて、帰りは門前の寿司屋で「祝い膳」で一杯やることにしましょう。よし、それに決めた!

Takahide Kita

■いやぁ、ショックです!

「幾松ほどの料亭がつぶれるかね・・・こんなことがあるのかね。」明治維新三傑の一人、木戸孝允ゆかりの料亭「幾松(いくまつ)」が経営破綻したというニュースを耳にしての感想です。

私は、たった一度だけですが、木戸の奥様の名を冠したこちらのお宿にお世話になったことがあります。三条の高瀬川近くにあるこの料理旅館には、木戸がまだ桂小五郎と称していた頃に、新撰組に打ち込まれた際についた柱の刀傷や幕府の役人から追われて、逃げ込んだ際に隠れていた長持なども現存しています。確か、建物自体も文化財に指定されていたように思います。そんな、幾松が資金繰りに行き詰って・・・なんとも残念です。

外国人観光客を当て込んで、にわかごしらえしたホテルがどうなろうと、別に気にも留めませんし、「へぇ~、そうなんや。えらいことでしたね」で終わりなんでしょうが、幾松のレベルになってくると、何かかけがえのないものを失ったような寂寥感におそわれます。

小田原のかまぼこの老舗、「○う田代」も破産で10月いっぱいで閉店のようです。小田原のかまぼこといえば、「籠清」が最初に思い浮かびますが、伊豆方面に出かけた際には、必ずと言ってよいほど小田原に立ち寄っていましたから、「○う」さんの味にも何度か舌鼓を打たせていただいたことがあります。

こういった老舗というか、脈々と受け継がれた伝統のようなものが、昨今の社会情勢の中で、少しずつ消えていくのはほんとうに寂しく、いたたまれない気持ちになります。私の身近でも、自宅近くでよく利用していた町中華や焼き肉屋といった馴染みの店が一つ二つと閉じていますしね。

世の中全体を見まわしても、コロナ前には1.6倍あった有効求人倍率もここにきて1.04倍(8月)に急降下、1倍を切るのも時間の問題です。私の教え子たちの就活状況なども少々心配になってきました。

みずほ銀行は正規職員を対象に週休3日、4日の勤務体系を発表しました。表面上は「働き方改革」における勤務の多様化を謳っていますが、実質的なリストラの一環といえるのではないでしょうか。みずほ銀行は以前このコラムでも取り上げましたが、3年前にいち早くフィンテックやAIを活用し、大幅な人員削減目標を発表していましたが、ここにきてそれらの計画の実行に踏み切ったということでしょうか。

こういった社会の現状や変化についても、私は子どもたちにありのままを伝えます。そして、「今、どうするべきか」を話します。そして、考えさせます。子どもたちに「明るい未来」や「無限の可能性」を語るばかりでは、いくら何でも現実離れも甚だしいでしょう。「そういった厳しいこともある程度は承知した上で、一人ひとりの子どもたちが社会に出ていくための準備をしている」という状況をつくり出すのも、私たちの大事な役割だと考えています。もちろん、その先にある「力強く、素晴らしい未来」を信じてのことですけどね。

Takahide Kita