コラム

■「美しい本」をいただきました

そういえば、最近、本を読むことが少なくなったように思います。以前は月に平均3~4冊程度は読んでいたんですけどね。新聞なども自宅で定期購読はしていますが、じっくり目を通すといったことも少なくなってきていますかね・・・。ついつい、スマホでニュースアプリのダイジェスト版を舐めるだけで済ましてしまう、といったことが多くなっています。

先日、かつて勤務していた会社の上司であった方から本を一冊贈っていただきました。私が、ちょこちょこ小旅行に出かけるのをご存じだったのかはわかりませんが、日本各地の季節ごとの絶景を集めた「美しい」一冊を頂戴しました。昨年にも、「ぜひ読んでおいた方が良い」といって、興味深いビジネス書をいただき、「なるほどねぇ」といった具合で、ありがたく一読させていただいたのも、いまだ新しい記憶です。

季節の折々にいただく菓子や果物といった進物もうれしいものですが、こういった知識や感動の「おすそわけ」はほんとうに有難いですね。贈っていただいた方の気持ちを考えると、ほんとうにうれしくなっちゃいます。

他人様に本を贈ったり、読むことをすすめるといったことは、案外「気を遣う」行程を伴います。その方の思考や趣味などを思い起こしながら、その人自身の現在の置かれた立場や情況なども推察し、その一冊を選ぶわけですから、ある意味「思いを込めたひと仕事」といえるかもしれません。

加えて、本にはその著者の熱い思いや積み上げてきた見識などが詰まっていますから、単に豪華なモノや美味しいモノで、相手を喜ばせるのではなく、その人の血肉になる、そして日々の生活における貴重な助言者にもなる、そういった「ありがたい贈り物」だとも思いますね。

実は、私にもこの10年来、傍らに置いて何度も読み返してきた本があります。新潮文庫から出版されている、城山三郎さんの「静かに 健やかに 遠くまで」という軽めの一冊です。城山さんはご存じの方も多いとは存じますが、「黄金の日日」をはじめとした歴史小説や、昭和を舞台にした企業小説を数多く手がけられた方で、その中に登場する人物個人の視点から、様々な「生き様」をリアルに描写されています。そういった登場人物の台詞の中から、「これは!」と思うようなものをダイジェスト版にして再編した一冊になります。人の一生において迎えるであろうステージや出くわす場面ごとに編集されていますから、その時々に必要とする「処方箋」を見つけやすい構成にもなっています。

私も、仕事や私生活で様々な問題にぶつかったときには、何度もこの本に助けてもらいました。私にとっては、ほんとうに有り難い「金言集」といえますね。

私も、これを機に、久しぶりに友人へ本の一冊でも贈ってみようかという心持ちになっています。

Takahide Kita

■ここでも、ついでに「姫路」などはいかがでしょうか

兵庫県姫路市、西は赤穂から東は加古川に広がる播州平野の中心地で、人口約50万余りの地方中核都市です。歴史のある城下町で、なんといっても世界文化遺産、国宝「姫路城」のイメージが強烈ですよね。

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このお城、一度来られた方はよくお分かりかとは思いますが、とにかくデカい!天守閣に登るのには少々の覚悟が必要ですよ。400年ほど前に建てられた当時のままの姿ですし、内部の階段もえらい急です。大阪城のようにエレベーターなんかもありませんから、足腰に自信のあるうちにいらっしゃることをおすすめしますね。私も、2年前に登った際には、とにかく汗だくになってしまいました。

お城以外でも北の方に、西の比叡山といわれる「書写山円教寺」なんてのもあります。比叡山と同様に、山全体に伽藍が配され、神々しい空気に包まれた異空間といったところでしょうか。私も、小学生の時に林間学校で行った記憶があります。当時は大型の馬が曳く馬車などもありましたね。

姫路は地方都市といっても、それなりの人口がありますので、一通りのものはだいたい揃っています。いわゆる名産品というものもありまして、私のおすすめは、「姫革」と呼ばれる白なめし革の加工品と明珍の火箸風鈴ですね。牛革を伝統技法で白くなるまでなめした上に、鮮やかな彩色を施した細工品で、見た目がほんとうに綺麗です。イタリア製の皮革製品にも白はありますが、これらの多くは黒や茶色の上から塗色をしたもので、原色が白というのは珍しく貴重なんだそうです。明珍の火箸風鈴は、とにかく音色がこの世のものとは思えないくらい素晴らしいですね。しかも、播州鉄の甲冑師の流れをくむ明珍一派が鍛えた鉄ですから、そこらの刃物では全く太刀打ちできません。とにかく丈夫ですから、一度手元に置けば、一生モノですよ。

一方、姫路は瀬戸内海に面していますから、海の幸をはじめとした食べ物にも恵まれています。浜の方から上がる、鯛やメバル、タコに穴子といった食材は子どもの頃から馴染んだ大好物です。あと、西の端っことはいえ、関西圏ですので、いわゆる「粉モノ」も一通り揃っています。ただ、姫路に限らず、兵庫県では「粉モノ」にマヨネーズは決してかけません。そもそも、店に置いていないんじゃないかな。たこ焼きは、明石が近いこともあり、いわゆる「明石焼き」とか「卵焼き」と呼ばれる、例の「フワフワ、トロッ」をカツオ風味のお出汁につけていただくのが主流ですね。

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そうそう、そういえば姫路でしか食べられないものに「えきそば」というのがありますよ。これは関東なんかでもよく見かける「駅にある立ち食いそば屋」を略した名称ではなく、固有名詞としての「えきそば」です。姫路駅のホームはもちろん、駅前からの大通りや地下街を歩いているとこの看板が目に入ってきます。

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「ただのそばではありません」とありますが、関西風の出汁のきいた薄口味の「ただのそば」です。ただ、少々風変わりなところがありまして、そば自体の色が白なんです。初めて口にされる方はかなり違和感があるでしょうね。ちぢれていないラーメンの麺をそばのようにいただくといったイメージでしょうか。

加えて、お土産用に絶対おすすめなのが「書写千年杉」というロールケーキです。かつて、姫路城に映画のロケでいらっしゃったトム・クルーズさんが、一口食べて、そこにあるだけ全部を大人買いされたことでも知られています。昔ながらの「小倉あん」と「ゆず風味」のものがありますが、甲乙つけがたいですね。甘いものが苦手な私でも美味しくいただけますし、とにかくお土産で差し上げたスイーツの中では評判は抜群です。先に紹介した特産品もそうですが、こちらも「お取り寄せ」が可能なようですから、ネットで検索されて、是非召し上がっていただきたいものです。

最後に、姫路城大手門の脇に護国神社という立派なお社がありまして、まあ、規模を小さくした靖国神社といったところでしょうか。

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今回、こちらにお参りさせていただいた際に、ちょっと珍しいモノをいただきました。まあ、今風といえばそうなんですが、疫病退散の「アマビエ」の御札です。私は、アマビエなんて、ゲゲゲの鬼太郎の中でしか見たことがありませんでしたが、とりあえずはご利益を期待させていただくことにして、自宅の玄関にでも置いておくとします。

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例年でいえば、年に何度も頻繁に訪れる私の故郷「姫路」ですが、今年はこんな社会情勢ということもあり、従前のように気兼ねなく行き来できるというわけにはいきません。一日も早い日常の回復を祈るばかりですが、今のところは、アマビエさんに一層の奮起を期待するしかなさそうです。

Takahide Kita