コラム

■広告宣伝の季節到来!

先週あたりから、わが家に入る学習塾や各種習い事の新聞折込チラシが一気に増えてきました。例年、冬期講習から新年度の生徒募集のこの時期には多くはなるのですが、今回はその内容について、いつもより細かく目を通してみました。

現時点で、学習塾のものが13塾分手元にありますが、その全てに共通しているキャッチが「無料」もしくは「免除」という文言でしたね。チラシ1枚平均4.8箇所の「無料」があり、最少のもので2箇所、最も多いのはなんと11箇所もありました。同じ期間に折り込まれた他のチラシ48枚を調べてみたところ、コンビニのチラシに「でか焼き鳥無料券」、弁護士法人のチラシに「相談料無料」とあっただけでしたので、学習塾業界でいかに「無料」が流行っているかがわかりますよね。

昔から「タダより高いものはない!」なんて言いますが、学習塾の場合はどうなんでしょう。

よくテレビ通販の番組などで、「初めての方に限り、商品価格半額、送料無料!」なんてのがありますが、これって・・・絶対にあとで儲けていますよねぇ~。で、くりかえしになりますが学習塾の場合はどうなんでしょう。

最近、スマホで無料でダウンロードして楽しめるゲームありますよね。でも、ゲーム作成会社や運営会社さんはとてつもない利益を出して、飛ぶ鳥落とす勢いですよね。で、くどいようですが学習塾の場合はどうなんでしょう。

かつて、幕末の難しい時期に幕府の舵取りを任された勝海舟はこう言ったそうです。「上等な人間というのは、人をカネや力で動かしたりはしないし、また自分自身もカネや力で動いたりはしないものです。」

なるほどねぇ~私なんかは上等な人間ではないんでしょうね。普段の生活では結構な節約家なもんですから、スーパーの「特売」や「ポイント5倍デー」は必ずチェックしていますし、同じモノを少しでも安く買えた時などはなんか嬉しくなっちゃいます。生活経費のほとんどをカード引き落としを利用し、加えて効率的にポイントを貯めることで、ここ数年来はコメとビールはお金を出して買ったことがありませんね。まあ、我ながら下等というか小市民というか・・・(苦笑)

そんな私でも、こと教育や自己投資に関しては必要なお金を出し惜しみしたことはなかったと思いますよ。PEGでも「無料」はほとんどやりません。あえて言えば、在籍生の日曜特訓と年末正月特訓が受講料無料で、あとは兄弟姉妹の在籍について少しばかり受講料を減額していることぐらいですね。要するにうちの場合は「無料」の向かう対象が全く逆なんですよね。そもそもがPEGは最高水準のコストパフォーマンスを謳っており、たとえば中学3年生の1年間にかかる総経費は大手進学塾さんの5割~8割程度になっていると思います。

あっ!そういえば、新聞の折込チラシ・・・やったことがありませんでした!まだ顔も知らない不特定多数のみなさんに対して、ボランティア精神豊かな「無料」を打ち出したくても、幸か不幸か手段がなくて・・・できなかったんですよね。(大笑)

Takahide Kita

■過去問の演習はね・・・

塾の先生、これ好きな人多いんですよね。でも、やり方間違えると、あんまり効果がないというか、時間の無駄というか、場合によっては子供たちにとってマイナスになったりすることもありますからね。

私は、原則として入試演習はやりません。ましてや授業時間内にやるようなことは絶対にないですね。だって、時間がもったいないでしょ。ただでさえも、一昔前と違って子供たちの通塾期間年月数が減ってきましたし、そもそも授業時間数自体も軽めになってきていますからね。本来必要なものを指導しきるためには、そんなことをやっている余裕はありませんね。

じゃあ、入試問題への傾向対策はどうしているのかといいますと、私のほうで過去問を整理点検して、来年度入試に出題可能性が一定以上あるものを再編集してやらせていきます。具体的には、過去5年程度に遡って出題されたテーマを消去し、その間に出題されていないものを中心に演習形式の教材に作成していきます。適当な問題が見あたらないようなときは、問題自体を一から作ったりすることもありますね。

上位難関といわれる学校ではその年ごとに出題内容が大きく変化しますし、過去5年間に出題されたようなテーマを重ねて出題してくるようなことはほとんどありません。従って、皮肉なことに「○○高校過去5ヵ年入試問題集」とは、「来年度○○高校には出題されない問題集」ということになるわけですよね。加えて、入試本番では手をつけないほうがいいような問題(いわゆる「捨て問」)を一生懸命に質問したり、復習したり、まあそれ自体は勉強にはなるんでしょうが、たいへん効率の悪い話だと思いますよ。

ただし、以上のことは難関上位校についてのみあてはまることで、中堅以下の学校については、過去問はバッチリやっておいたほうがいいでしょうね。問題ごと覚えてしまうようなイメージでもいいと思います。だって、出題の形式から問題数、分野ごとの出題割合までほぼ同じでしょうから、入試問題を見たとき3年前が今年で、去年が来年、今年が一昨年だったとしても誰も気がつかないといった笑える話にすらなりますね。

先に「原則として入試演習はやらない」と言いましたが、例外は問題の捨て方の練習用として使うことです。ただし、これはかなり完成度の高い受験生が最難関校を受験するような場合の話で、「60分のテストを30分で40点分おさえる」というような形式で問題を解いていく順序や捨て問の見極めのためのトレーニングを行います。残念ながら、ここ数年間はそういう必要はありませんでしたけどね・・・(無念)

もちろん、これは私の担当する数学に限った話です。英語や国語については、話は全く違ってきます。英語などの場合は、その受験校に限らず、同等レベルの学校についてはバンバン入試問題をやっていたほうがいいと思いますよ。だって、素材となる文章自体がかぶってくる可能性が大いにありますからね。というのも、上位難関校では英語の入試問題の原文となる文章自体に適当な難易度のものが少ないと考えられますから、結構な頻度で入試問題が重複するんですよね。毎年のように、英語の講師が「これは平成○○年に△△高校に出た文章と同じだ!」なんて言っているのを耳にしますよ。一般的な高校入試の問題よりは難しく、大学入試レベルよりは若干易しいといった狭い範囲のものを各校の問題作成者が探しているわけですから、ある意味、当然のことといえるかもしれません。言うまでもなく、題材となる文章を一度でも読んだことがある場合は圧倒的に優位になりますよね。

秋の終わりとともに、受験生のみなさんに残された時間もだんだんと少なくなってきました。ここから先は入試本番での得点に直結するような有意義な時間の使い方をして欲しいものです。やるべきことは、まだまだいっぱい残っていますからね!

Takahide Kita