コラム

■言葉は怖い、活字はもっと怖い

言葉はほんとうに怖いものです。

言葉によって救われることも多いですが、何気ない一言で知らず知らずのうちに相手を深く傷つけたりもしますよね。しかも、奇妙なことに人ってこういう場合には素直に謝ることが出来ないことが多いんですよ。どうでもいいようなことだと簡単に謝れるのにね。だから、言われた方は忘れたくても忘れられない。その相手の顔を見るたびに思い出してしまう。これまで積み上げてきた人間関係が瞬時に崩壊なんてことになっちゃう。

メールなんかは活字ですから、もっと怖い。

相手の顔が見えないですから、その場で追加修正することもできないし謝ることも出来ない。結果、自分の考えや思いが正確に相手に伝わらない。相手が腹をたてて返信してくれればまだやりようもあるんでしょうが。

以前、私もメールで大勢の方々に指示や報告を出したりしていましたが、送信する前には何度も何度も読み返したものです。「この部分はしっかり伝わるだろうか。あの人なんかは曲解するんじゃないだろうか。」なんて具合ですよね。

私たちは、この「言葉と活字」を生業としています。しかも、その「言葉と活字」の多くは感受性の豊かな子供たちに向かいます。ひとつ間違うと、子供たちのモチベーションを大きく損なったりもしますが、怖がって表面上だけの「なでなで」で済ませてしまえば子供たちは勘違いをしちゃいます。

だから相手の顔を見ながらの声かけと面談がとっても大事になるんですよね。特にこれからの2ヶ月間は五感を研ぎ澄ませながらの生徒たちとの「にらめっこ」になります。

Takahide Kita

■「耐雪梅花麗」(ゆきにたえてばいかうるわし)

受験校決定の面談も無事通過し、出願校もほぼ確定しました。今年の子供たちもこの場をよく踏ん張ったと思います。

この時期の受験生はとにかく弱気になりがちで、学校の先生から勧められる単願推薦や怪しげな学校の併願推薦に飛びついたりもします。うちの子たちは原則、一般入試ですから合格については何らの保証はありません。でも、そういった競争(入学試験)を自分自身の力で突破するからこそ合格の味もひとしおですし、これから先の自信にもつながります。何よりその先の自分を大事にしていけるようになります。

保護者のみなさんにもよく踏ん張っていただきました。学校の面談では受験生以上に不安になられることもあったことと思います。しかも、まともな上位校では一般入試に合格できたとしても延納制度がありません。ほんとうにありがとうございました。

不合格になることをおそれて逃げ出すことなく、あるべき姿を最後まで諦めずにこだわり続けた生徒・保護者のみなさんに敬意を表します。あとは、残り2ヶ月を悔いなくやりきって大きな花を咲かせましょう。

ここから入試本番までの勉強は世の中がクリスマスや正月などのイベントで楽しく盛り上がる中で日々ストイックにやっていかなければなりません。受験生一人ひとりにとって、今までの勉強の中でも最も苦しい時期となります。マラソンで言えば35キロ過ぎといったところでしょうか。さあ、ここからが勝負です!

最後に、女子マラソン金メダリストの高橋尚子さんの座右の銘です。

「何も咲かない寒い日は下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く。」

(2月には綺麗な梅の花が咲くことを願って、本日より受験終了までの期間、標記の「耐雪梅花麗」を校舎に掲示します。)

Takahide Kita